子どもの好奇心の芽を摘んでいるのは大人かもしれません。
知恵の悲しみ?
小学4年生の姪っ子が最近石に興味をもっている、との情報を得て、嬉しくなったわたしは、いったいどんな石に興味をもっているのか、見せてもらってきました。
わたしも海岸やそこらへんに落ちている石で、気に入ったものを集めてしまうタイプだからです。
わたしのお気に入りの石コレクション↓


姪っ子が見せてくれたのは、いわゆる知育本で、10種類くらいの岩石がセットになっているものでした。
最近の流行りにのって、石たちは親しみやすく擬人化・キャラクター化され、それぞれの岩石の特徴がマンガ調で説明されている冊子がセットになっています。
なんでも誕生日に自分で選んでこのセットを買ってもらったそう。
そんなに石が好きなら、ということで、姪っ子がうちに遊びに来たときに近くの海岸に石拾いに連れていきました。
そこには上記画像のように、いろんな色や模様のものがあるので、喜んでもらえるだろう、と思ったのですが・・・・。
なんと、姪っ子が拾ったのは、数ある石の中からたった1種類だけ。しかもいちばん地味な花崗岩。
彼女は、自分が名前を知っている石にしか価値を感じなかったようです。
これも一種の知恵の悲しみだなぁ、と。
雑草という草はない
「雑草という名前の草はない」という植物学者・牧野富太郎さんの言葉どおり、花崗岩以外の石にもたいてい名前がついています。
地元の図書館には郷土に関する資料がたいがい置いてあるので、「●●川・××海岸の石」というような本で調べれば、わたしの石コレクションもご覧のとおり。

姪っ子がどういう経緯で石に興味をもったのかはわかりませんが、もし、とっかかりが自然の中でみつけた石だったとしたら、そこで大人ができることは、図鑑で石の種類の調べ方を教えてあげるとか、他の場所で石を探してみるとか、さらに興味が発展するような方法もあったのではないか、という気がするのです。
子どもの興味を深堀するには
子どもの興味を深堀するには、やはり身近な大人が時間をかけて子どもに根気よく付き合ったり、興味を広げるための環境を整えてあげることが大事だと思います。
テレビ朝日の「博士ちゃん」で有名になった世界遺産検定マイスターの山本リシャール登眞(とうま)君が、世界遺産に興味をもったのは幼稚園の頃だったそうです。
番組内の「リシャール君にどんな教育をしてあげたんですか?」という問いに対して、お母さんは「わたしは特に何もしてません」「ただ、世界遺産の本の子供が読めない漢字にふりがなをふってあげたりしただけ」とおっしゃっていました。
いやいや、一冊の本すべてにふりがなをふるのって、結構大変なはずですから。
それを子どものためにさらっとやってあげて、わたしは何もしていない、と言えるお母さんがすごいな、と思います。
そして、休みの日には家族で博物館へ出かけたり、古い街並みを散策したりし、リシャール君はますます世界遺産が好きになっていきます。博物館めぐりは親御さんの趣味でもあったのかもしれませんが、リシャール君が喜ぶ顔がみたくて、通っていたのではないでしょうか。
その後もさらに独学を続けていった彼は、世界遺産を保護する活動に興味をもつようになり、国際法を学ぶために今年(2024年)、東大法学部に推薦で入学しました。
知育本なら、子供向けに書いてあるので、子供が一人で遊びを完結できて親が楽なのはわかります。
でも、それによって逆に知識が狭い範囲で限定的になってしまわないか?とも思います。
(知育本すべてがダメというわけではなく、まったく知らなかったことに対して興味をもつきっかけにはよい役目を果たすのかもしれません)
大人の役目は、子供にさまざまなことを経験する機会を与え、子供が興味をもったことを見逃さないこと。
そして、その分野の本選びを手伝うことはもちろん、子供の話を聞いてあげたり、子どもだけではなかなか行けないフィールドワークに連れ出したり、とほったらかしではなく、大人も興味をもち、時間をさいてつきあってあげることで子供の興味を深堀するアシストができるのだと思います。
もしかしたら、それが我が子の将来の研究や仕事につながることもあるかもしれませんね。

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