一生お金に困らない子供を育てる家庭のお金教育~ <実践編①>

お金の話

我が家のちょっと変わったお金教育について。今回の実践編①は「貯める編」「稼ぐ編」についてご紹介します。

前回までのあらすじ

 

貯める編

消えた通帳

ここからは我が家の息子に対するお金教育の話。

結婚後に更生したわたしは、すっかりコツコツ貯めて質素に生活する素敵な奥さんに変身。日々の生活はとても豊かで心も満たされていた。そんな我が家に長男が誕生。出産祝い金も親戚からたくさん集まったけど、ベビーグッズはおさがりやフリーマーケットで調達したもので賄えたので、祝い金には手をつけずに済んだ。

その後赤ちゃんにもお年玉をくれる親戚がいて、まとまった金額になったので、息子名義の口座を開くことに。記念すべき息子の貯蓄人生のスタートである。0歳で既に数万円あるのだから、スタートからしてわたしとは雲泥の差だ。

この「子供名義」の通帳、わたしには苦い思い出しかない。

確かにそれは存在した。小学生になったとき、希望者は銀行口座を開いて積立貯蓄を開始できたのだ。当時はまだ自動引き落としシステムがなかったんでしょう、子供が集金袋に通帳と積立金を入れて学校へもっていき、銀行屋さんが集めにきた。わたしも自分名義の通帳を作ってもらったのが、ちょっと大人扱いされたようで嬉しかった。貴重品なのでランドセルで運ぶのにもドキドキ。しかし、その積立は2回で終了。3か月目以降、母から集金袋を託されることはなかった。

あの通帳、どこいったんだろう?その後、毎年お年玉の一部を「あの通帳」に入れといて、と母に預けていたんだけど、それも数年後には全部使い込まれていたことが判明。わたしの学用品などを買うのに使ったから、と母は正当性を主張していたが、それならそうと一言断ってほしいものである。

恨み節はここらで終わりにして・・。そんなわけでわたしは子供名義の預金には絶対手をつけず(当たり前だけど)、ちゃんと管理して息子の信頼を勝ち取ろう、と心に誓った。お金のことだけに限らず、子供は親の私物ではない。小さくても同じ一人の人間なんだから、親子の立場は対等であり、お互いに尊重し合わないといけないのだ。

レシートの山で号泣

お金には4つの活用法がある。

貯める・稼ぐ・使う・投資する

どれも大事で、自分の中でルールを決め、この4つをバランスよくコントロールできる人が真のお金持ちだ。稼ぐ意欲があり、貯められる意志の強さがあり、必要なところにはお金を落とし、将来を見据えて投資にも余念がない。

さて、息子にはどれから教えればよいか。最初は自分で稼ぐ力がないので、まずはいただいたお金を貯めるところからスタート。お年玉やお誕生祝をもらったら、わたしが一旦預かり、息子名義の口座に入金・記帳して、本人に見せることに。4~5歳頃にはその通帳の意味を少しは理解していたんじゃないだろうか。

お金に興味を持ち始めた息子は、わたしが家計簿をつけていると、そばにやってきて買い物のレシートを欲しがるようになった。レシートを手にすると、「お金、お金」と喜び、空き缶に大事にしまいこんでいる。どうやらわたしの財布から出てくるものだから、お金だと思い込んでいるようだ。可愛らしいので、とくに訂正することもなくそっとしておいた。

それから数か月?もしかしたら既に1年以上経った頃には、レシートの数はものすごいことに。おせんべいの空き缶はパンパンになっていた。そして、何がきっかけだったか忘れたけど、息子はとうとう気づいてしまったのだ。「レシート=お金」じゃない、ということに。

「本物のお金がよかったぁ~~~~~~~~(泣)」

涙をポロポロ流して悔しがる息子。嗚咽しながらの号泣であります。

決して騙してるつもりはなかったんだけど、機嫌よくやってることに水を差してはいけないと思い、黙認してたらそのうち本当のことを言いそびれたというか・・・。

「レシートはお金を貯める練習だったんだよ。これでたくさん貯める練習ができたから、これからは本当のお金がたくさん貯まるよ!」罪悪感でいっぱいのわたしは号泣する息子を必死になぐさめ、励ますことしかできませんでした。

その年の息子の誕生日プレゼントは新幹線型の貯金箱。コインを投入すると新幹線のサウンドが数種類流れるやつ。ここから息子の本気貯蓄が始まる。

お小遣いは使うためにあげない

「小遣い制」というものの起こりはいつ頃なんだろう?遅くとも江戸時代には小遣いをもらう子供がいたはずだ。お手伝いをしたか、なにか褒められるようなことをしたか、親の機嫌がたまたまよかったからか、とにかくお駄賃をもらった子供は、お菓子やちょっとしたオモチャを買いにはしっていた。現代の子供のお小遣いも、位置づけとしては江戸時代のそれと変わりないだろう。

現代のお小遣いの渡し方も、家庭によってまちまちで、

①毎月決まった金額をあげる。

②不定期に必要なときだけ適切な金額を与える。

③家の手伝いをさせ、それに見合った報酬を与える。

というのが一般的なとこだろう。

しかし、我が家の方針はたぶん上記の3つのどれにも当てはまらない。

形の上では③に最も近いんだけど、決定的に違うのは、

「使うためにお金をあげていない」

ということ。

多くの家庭では子供が小学生のうちからお小遣いを渡し始める。

お小遣いを渡す理由としてもっとも多いのは、

「自分でお金を管理することで金銭感覚を磨くため」

だそうです。

「一部は貯蓄して、残りを使うように」

「何に使うかルールを決めて」

等々聞くと、いかにもお金教育をしっかりやっているように聞こえる。

でもこれだと、完全に

「無駄なお金を使うことを推奨している」

ことになってしまうんじゃないの?

うちのように田舎に住んでいるなら、

「小学生のうちから無理にお金を使う必要はまったくない」

わたしはそう思う。

特に低学年のうちは友達との付き合いでお金が要るようなこともない。なのにわざわざお金を渡して、駄菓子とかちょっとしたオモチャとか文房具とかを「さあ買いなさい」と親が後押しするとどうなるか。

お金が入る→1カ月で使いきる→次のお金が入る→また使う

この魔のローテーションがこんな小さいうちから習慣づいしてしまうのだ。

これ、自転車操業時代のわたしと同じじゃん。

稼ぐ編

10円で買えるもの

我が家のお金教育は「貯める」ことからはじまった。

とりあえず親戚からもらったお年玉などは貯めておく。

そして次は「稼ぐ」。

で、「稼いだものを貯める」ことができるようになったら、

その後やっと「使う」に移行できる。

息子が初めてお金を稼いだのは小学校入学前。

家のお手伝いでお駄賃をあげることには賛否両論あるようだが、小さいうちは他所で雇ってもらえないから、お手伝いで稼げれば、それこそ金銭感覚を磨くのによい練習になる。

お金とは、どこからか沸いてくるものではない。親戚からもらうお年玉だって、その親戚が仕事をして稼いだお金なのだ。

とにかく「お金とは誰かの役に立つことではじめて得られる報酬」だということを息子に理解してほしかった。

お手伝いはとりあえずわたしの助けになるのでよしとしよう。

お皿洗い、洗濯物をたたむ、玄関そうじ、庭の草取り等々。保育園児にもできる家事はけっこうある。

報酬は各10円。

え?わたしケチですか?

でも、もし仕事に見合っていない不当に高額なお駄賃を渡すと、社会に出て働いたときに「キツい仕事のわりに稼げない」と思い、働く意欲を無くしてしまう恐れがある。これでは息子のためにならない。「稼ぐのなんて簡単」と思われないほうがよい。

仕事の途中で息子が嫌になりかけても、なだめ、すかし、おだて、励まし、何とか最後までやり遂げさせる。わたしのほうがお駄賃もらいたいくらいだ。

それに、こんな事で100円、200円もらえるなら、わたしは既にちょっとした富豪になっているはずだ。だからやっぱり10円は妥当。

ここで必ずこう思う人がいるだろう。

「10円じゃ何も買えないよ」

10円で買えるものって何があるだろう?

2021年現在、チロルチョコは20円らしい。

うまい棒は?・・・10円だけど、消費税がつくからアウトだ。

時々もやしが特売で9円ってことがある。でも、もやしを買って喜ぶ保育園児はなかなかいないだろう。

ここでひとつ大事なポイントをお知らせします。

そもそも、何故10円もらって「10円以内で何か買わなきゃいけない」と思うのでしょう?

10円だってコツコツ貯めれば100円になり、1000円になり、いずれは1000万円にだってなり得るのだ。

貧乏な人ほど小さいお金をバカにする。そして、お金が入ると反射的に使っちゃうから、当然なかなか貯まらない。「宝くじ当たらないかなぁ」と思っても、滅多に当たらない。だから大物はローンで買うハメになる。

息子は小さいお手伝いを1日平均2つやった。

10円×2つ×30日=600円。

保育園児にしてはなかなかの高給取りだ。こうして新幹線の貯金箱には着々と10円玉が貯まっていった。

歩合制の仕事で家業に参入

貯金箱に貯まった小銭は、年に1度お年玉と一緒に通帳へ。さて、この通帳にはいったいいくら貯まったでしょう?

小学校入学時点の残高はなんと25万円!内訳は誕生祝・お年玉・入園入学祝いと貯金箱の小銭約9000円分。どうしても困ったときは息子に借りよう・・・わたしは密かにそう思った。

そして、息子はこの年から家業にも参入。うちは兼業農家。畑にはちょいちょい連れて行ってたんだけど、小さい子に「仕事」としてやってもらうには、何か歩合制のものがわかりやすくてよかろう。そう考え、頼んだのが、「ネギの出荷用ダンボールの箱折」。

ネギの箱はガムテープを使わない組み立て式なので、子供が一人で完結できる。でもこれを20箱、30箱と続けて折るのは案外面倒で疲れる作業だ。だから息子がやってくれると本当に助かる。

ネギを出荷すればちゃんと売り上げが出るので、箱折は今までのような家事のお手伝いとは違って立派な「仕事」だ。スタート時は1箱2.5円。当時はたくさんネギを出荷していたので、多い月は400箱ほど折ってもらった。そうすると箱折だけで月1000円のお小遣いをゲットできる。

この歩合制の仕事をやらせて一番よかったのは、物の価値と価格がちゃんと釣り合っているかどうかを考える癖がついたこと。後にお金を使うようになると、この感覚がバッチリ生きてくる。

箱折の仕事はその後何度かの価格改定を経て、現在は1箱5円。息子が高校生になった今も時々頼んでいる。

息子が小学校低学年の間はこの他にもいろんな歩合制の仕事をお願いしてみた。

ネギの根っこをハサミで切り落とす  3kg(約30本分)50円

サトイモの調整作業           1kg50円

などなど。まあ、すぐに飽きちゃうので大した金額にはなりませんが。

しかし、高学年になったら力も集中力もついてきたので、畑仕事も手伝ってもらうように。草取りしたり、苗を植えたり、収穫したり、どぶさらいしたり、と大活躍。この頃は仕事が終わった後に、わたしがその日の働き具合を査定して、今日は300円とか、500円とか渡してました。

そのうち農薬と機械を使う仕事以外なら、たいがい何でもソツなくできるようになったので、中学生になると外仕事は時給制に変更。中1で時給500円。中2のときは時給600円・・・。中学生でこんなバイトにありつけるなんて、なかなかないですよね。でも実は、こっちもパートさんを雇うより人件費が安くて助かる。それに素人の大人より、息子の方がよっぽど役に立つし。

農業に限らず、家業があるのはよいことです。まず、子供~お年寄りまでそれぞれに適材適所の仕事があるから、健康であればずっと現役でいられる。そして身内にお給料を支払っても、そのお金は家から出て行かない。それでいて、外からはちゃんとお金が入ってくるんだから、間違いなく儲かる、という仕組みになっているんです。

フリーマーケットで自由研究

あるときわたしは図書館で面白いタイトルの本をみつけた。

もうお気づきだとは思いますが、この記事のタイトルはこの本へのオマージュ(パクリ)です。

早速借りて帰って当時小学一年生だった息子に読み聞かせすることに。

本の内容はこんな感じ↓

韓国の女の子が12歳で100万円を貯めるまでの実話で、子どもたちが楽しくわかりやすく経済について知ることができる本。韓国で10万部を超えるベストセラーとなったこの本は、わが子をお金の使い方、儲け方のわからないおとなに育てたくない親、必読の一冊。 

我々親子は完全にこの本にはまってしまった。「12歳で100万円」、今のペースで目指したら息子にも達成できそうだ。そして、この女の子がフリーマーケットでお小遣いを稼いでいたので、我々も真似してフリーマーケットに出店してみることに。

息子は張り切ってレジスターをダンボール箱で手作り。自分の要らなくなった古いおもちゃもたくさんかき集めてきた。

このときの結果は、出店料を差し引くと、かろうじてプラスになったくらい。初参加にしてはまずまず健闘した、というところでしょう。そしてこの体験は夏休みの「社会科の自由研究」としてまとめ、ちゃっかり学校に提出。お金の勉強にもなって、宿題もひとつこなせて、わたしの大好きな一石二鳥になった。

もしも子供に「金銭感覚を身につけさせたい、お釣りの計算ができるようになってもらいたい」、と思うなら、リアルお買い物ごっこは、お客さんではなくお店の人の役をやらせるほうがいろいろな面でお得ですよ。

ちなみに、この年の売り上げがあまり芳しくなかったので、翌年は場所を変えてリベンジ。2回目は、プラス4000円くらいになった。フリーマーケットでは、「自分にとっては不要なものでも、人にとっては価値のあるものになり得る」ということがわかったことが大きな収穫でした。

お財布の中の100円玉をゴミ箱に捨てる人はいない。でも小さくなって着られなくなった服は捨てることもある。フリーマーケットで100円で売れたかもしれないのに。そう考えると、誰か他の人の手に渡れば使えそうなものは、売らないまでも、あげるなりしてリサイクルしたほうがよいですね。

・・・と、本のおかげでこんな体験もしつつ、貯蓄にやる気を出した息子は小学生の間コツコツ貯め続け・・・、そして、中学の入学祝いを通帳に入金してみたら、本当に100万円貯まってしまいました。5月がお誕生日なので、ギリギリ12歳のうちに100万円達成~!!


長くなりましたので、続きの「使う編」「投資編」、そして現在高校生になった息子がどんな金銭感覚をもっているかについては次回の記事で。

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