わたしのパワハラ体験談

生き方・考え方・哲学

わたしが昔勤めていた職場ではパワハラがありました。そのときはわからなかったのですが、職場を辞めて数年経ち、パワハラが発生してしまう原因と、発生してしまったときの対処法がだんだんとわかってきたので、ここに書き留めておこうと思います。

わたしが経験したパワハラの現場

かれこれ10年以上前になりますが、わたしは公立の幼稚園で4年間ほどパートで事務の仕事をしていたことがあります。そのときの園長がパワハラでした。

といっても、当時のわたしはパワハラという言葉を知ってはいたけど、目の当たりにしたのは初めて。だから、在園時はそれがパワハラだとは思っていませんでした。でも、後から考えてみると、ああ、これがパワハラってことなんだ、と気づきました。

わたしが目にした園長のパワハラ行動は

・気に入らないことがあると、ドアを音を立てて強く締めたり、物を机の上に投げつけたりする
・「なんで〇〇しないのよ!」が口癖
・園児の前でも先生たちを怒鳴りつける
・一人の職員を集中攻撃 何をやってもダメ出しする

などなど。

これが毎日のように続きます。具体的には・・・、集中攻撃をしている職員には、園内研修などで、まずその職員に発言をさせ、その一語一句にダメ出しをします。なので、1時間で終わるはずの研修が、2時間、3時間と伸び、毎日遅くまで残業することに。そのうち、その職員は発言を促されたときに何か言葉を発しようとすると、涙が出て何も言えなくなってしまいました。こんな状況が続き、幼稚園から保育園への転園希望を出したのですが、それも園長のところで却下され、とうとう園に来なくなってしまいました。

この頃のわたしは、ストレスでだんだんとお酒の量が増え、いつの間にかアルコール依存になっていました。金曜日の夕方がいちばん調子よく、とにかく気分が開放的になって、お酒を大量に飲んでいました。しかし、土曜日の夕方になると気分が落ち込み、日曜日は朝から真っ暗な気分に。園に出勤する途中は、ここで事故でもすれば園に行かなくてもすむな、などという思いが何度も頭をよぎります。そして、年末年始の休みが明ける直前、何もしないのに涙がボロボロこぼれてきて、そこでやっと、これは精神をやられているかも?と気づいたのでした。

わたしはその後希望を出して別の園に異動させてもらいましたが、アルコール依存を克服するのに、7〜8年かかりました。また、当時わたしの右隣が園長の席だったせいか、右耳がおかしくなりました。耳の調子は10年以上経った今でも完治していません。今でもその園の近くを通りがかると、嫌な気分になります。わたしは特に気が弱いほうではありません。しかも、自分は直接口撃を受けていなかったにもかかわらず、ボディブローのようにダメージを受けていて、気づかないうちに精神が疲弊していたなんて、やはりパワハラとは恐ろしいものです。

パワハラになる原因は「伝え方」

パワハラをする人によくありがちなのは、本人はまったくパワハラだという意識がない、ということです。むしろ、自分は人一倍仕事熱心で、部下のためを思って指導している、と思っています。たしかに、本人の言うように仕事に情熱があるのは本当だと思います。そうじゃなかったら、職場で本気で怒ったりできないですよね?では、何が問題なのかというと、思ったことを相手へ伝える際の「伝え方」が間違っているのです。

たとえば、職員のミスに気づいたら、「それは〇〇なんじゃない?」と普通に教えてあげればそれで済むところを、「ちょっとーーーーーーっ!!!なんでこれがこんなところにあるのよっ!?どういうつもり?なんでこんなこともわからないの?」などとわめきちらします。そして、気に入らないことがあった後は機嫌が悪く、物や周りにいる別の職員にもあたりちらします。さらに、他園の園長に電話して「うちの職員はこんなこともできない」などと愚痴を言い放題。

園長の言っていることは「正論」ですが、こんなやり方では園がうまくまわるわけがありません。しかし、指導がうまくいかなのは、園長自身のせいだとは微塵も思っていません。熱心な指導にこたえくれない相手が悪いのだ、と思っているのです。これは、コミュ障の一種だと思います。人へのかかわり方が一方的で、自分の発言や態度を相手がどう受け取るか、という想像力が欠落しているのです。

言いたいことを言った側は気分がよいかもしれませんが、言われたほうは傷つき、いつまでも忘れないものです。これが一日中、そして毎日ずっと続くとなると、人によっては精神が参ってしまいます。ひと昔前のスポーツ選手とコーチの関係でもよくあったことで、一時期問題になりましたよね?

熱心にやっているからといって、暴言をはいたり酷い態度をとってよいわけではないのです。

パワハラが起きやすい場所

パワハラが起きるのは「閉鎖的な空間」です。

わたしがいた幼稚園の場合は、職員室に職員が全部で7〜8名、全員女性でした。だから、職員室の中で起きる出来事は、誰かが外へ訴え出ない限りは発覚しません。もし、たとえば、園の職員室が隣接されている小学校の職員室とつながっていたりすれば、こんなに酷い状況にはならなかったと思います。

職場内のパワハラに限らず、伝え方の問題で同じように起こるのは、家庭内の親子間や夫婦間のモラルハラスメントです。これも密室でよく起こる出来事です。家族の場合は、少々きつい言い方をしても親子だから、夫婦だから、相手はきっと許してくれるだろう、という甘えも原因になっていると思います。わたしも、子供が小さい頃は、不必要に怒ったり、自分の機嫌が悪くて子供に当たったり、ということがあったと、深く反省しています。受け取る側が傷つくような言い回しや態度をとることは、どんな場面でも絶対にしてはいけない、と今ならはっきり言えます。

パワハラをする人に出会ったら

もしも職場や家庭内で辛い目にあっているなら、まずは利害関係のない第三者に話を聞いてもらうのがよいと思います。わたしは、この幼稚園にいたときは、職場でちょっとくらい嫌なことがあったからって、仕事なんだから我慢して当然だと思っていました。でも、人に話してみると、「それ、おかしいよ?」と言ってもらえることがあります。すぐに解決策がなかったとしても、話を聞いてもらうだけで気分が楽になることもあると思います。

また、明らかにパワハラという場合は、状況が許せばその人になるべく関わらないようにするしかありません。相手のほうが変わって状況が改善することは、まずないからです。もし定期的に異動があるような職場でなければ、さらに上の上司に訴えて、何とか配置換えをしてもらいましょう。パワハラに耐えきれず、黙って辞めてしまうなんて、自分が損をするだけです。だから、結果どうせ辞めることになっても、その前にどうにかならないか動いてみるのです。また、自分がおかしいと感じていることは、たいがい周りの人も同じように感じているものです。もし、自分がいなくなっても、その職場ではその後もまた同じことを繰り返すことになるでしょう。職場の空気をよくするためにも、建設的な話し合いができそうな人が周りにいるのなら、相談してみるのもよいですね。

わたしは、パワハラをする人は「人間としてダメ」、と一刀両断にする気は決してありません。ただ、管理職というのは、部下を育てたり、チームをよい雰囲気にして引っ張っていくのが本来の役目のはずです。それなのに、有効な指導ができないのなら、その人はその職場でのそのポジションには向いていないということになります。でも、もしかしたら他の部署やポジションでなら、力を発揮できるかもしれません。だから、パワハラは個人だけでなく組織全体の問題としてとらえ、あくまでも職場をよくするために自分だけが我慢するのはやめるべきです。

ちなみに、わたしのいた園で出勤できなくなっていた先生は、一度は辞表を出したものの、教育委員会が特別措置をとってくれて、一年間の休職後、違う保育園で時短勤務で復帰し、数年後にはフルタイムで働けるようになりました。パワハラ園長には、教育委員会から指導があったはずですが、本人は自分に非があるとはまったく思っていなかったため、その後もなにかとトラブルが続いたのでしょう。数年後、別の園に異動した際に、今度は保護者から苦情が出て、とうとう現場をおろされ、市役所内のまったく関係ない部署で雑務のような仕事を与えられました。あるときわたしが所用で市役所に行ったときに、たまたま元園長が市役所内のゴミを集めてまわっているのをみかけて、背筋が凍り付きました。すぐに避難し、みつからずにすみましたが、生きた心地がしませんでした。もう何年も前の出来事なのに、パワハラの後遺症はなかなか消えないものです。だから、今辛い状況の方は、ここまでひどくなる前に、我慢せず、なにか解決策を探ってみてほしいのです。

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