最近になってふと、「わたしはこれまで子供の話をちゃんと聞いてこなかったな」と思い始め、反省しています。なぜ突然そう感じるようになったのか、子供の話を聞くことで何が変わるのか、これからどのように「聞く」を実践していこうか、などについて、自分の考えを整理してまとめてみたいと思います。
子供が将来何になりたいのかわからない
我が家には現在高1の息子がいます。一人っ子です。高校入学前から大学受験については考えていますが、卒業後はどんな職についたらよいのか、本人もわたしたち家族もまだよくわかっていません。
現時点で息子は大学では工学部、その中でも機械工学を専攻しようと思っているようです。理由は単純で、父親がメーカーで機械設計の仕事をしているため、この職種なら現実的なイメージがわきやすいからです。親戚にも、たまたま電気系や土木系などの工学部出身者が多くいます。また、本人も文系科目より理数科目のほうが得意なので、高校から理数科を選びました。小学生の頃はプラモデルが趣味で、ものづくりはわりと好きみたいです。
だいたい道筋が見えているならそれでいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、いろいろあって夫は昨年勤めていたメーカーを辞めています(今年に入って別の企業に再就職しました)。また、重工メーカーに勤める40代の義弟(息子にとっては叔父)も、管理職になってからは忙しく、ストレスもたまっているようで、息子が小さい頃によく遊んでもらった頃とは、人が変わってしまったように感じます。そういう身近な大人たちを見て、息子が自分も同じ道を歩んでよいのか迷うのは、無理もありません。
自分は本当に機械設計の仕事に向いているのか?日本のメーカーだけではなく外資系も視野に入れたほうがよいのか?それともまったく別の業界に行くのもありなのか?そもそもサラリーマンになってよいのか?など、漠然とした疑問をずっと抱えています。もちろん、大学生になった後にもその後の進路を選択する機会はたくさんあると思いますが、早く目標がさだまっていれば、そのぶん大学や学部選びも高1の今ならまだ方向転換することだってできるんじゃないか、と思ってしまうのです。
なぜ子供の話を聞くと将来が見えるのか
実は、これまでも息子がいろいろな大人と接することで、自分の将来について考えるきっかけになるのではないか、と考え、帰省したときなどには必ずわたしたち夫婦の友人や先輩などに息子を会わせていました。息子も両親や親戚、学校の先生とは違うタイプの大人がいることが認識できたと思います。しかし、こちらから情報を一方的に与えるだけで、息子本人の考えをあまり聞いてこなかったな、と最近になって思うようになりました。そして、それが息子がなかなかやりたいことがみつからない一因になっているのではないか、という気がしています。
人に自分の話を聞いてもらうと、話し終わる頃には進むべき方向性が見えてきたり、そもそも最初から自分の中では結論が決まっていて、ただ口に出してなかっただけだったりすることはよくあります。たとえば学生時代、友人に恋愛相談をしたとします。今の彼氏と別れようかどうしようか・・・、でも話を聞いてもらっているうちに、やっぱり自分は別れたくないんだ、と気づくような経験をしたことはありませんか?
そういえば、わたしも個人事業主のためのマネージメント講座を受講したときに、同じような経験をしました。その講座では、前半は全体に向けての講義があり、後半は受講生一人一人に担当者がつき、マンツーマンで話を聞いてもらう、という形式をとっていました。ここでは、話した内容について特にアドバイスを受けるわけではありません。とにかく自分の考えを思いつくままに喋るだけです。でも、そうして洗いざらい自分の頭の中身を出してしまうと、自分は何を一番大事にしているのかが自然とわかってきて、10回の講座が終了する頃には、プレゼンの内容がすっかり固まっていました。
親が子供のよい聞き手になるには
子供の話を聞くには次のような注意点がいくつかあると思っています。
- 自分の経験を持ち出して容易なアドバイスをしない
- 相手が答える前に先回りして喋らない
- 話をすぐに結論づけない
- 自分が賛同できないと思う考え方も、理解しようと努力する
しかし、これらを実践するのは、頭の中ではわかっていても、難しいことだと思います。我が家では、ほんの2週間前くらいからこの挑戦を始めてみたところ、まったくうまくいきません。わたしは、つい「〇〇ということだよね?」など、先回りして話をまとめようとする癖があるようです。そして旦那は、子供の言葉じりをとらえて、謎の解釈をし、そこにケチをつけて自分の考えを披露しはじめてしまいます。我々夫婦は、話を聞く素人だな、ということを改めて自覚しました。
子供の話を聞く目的は、子供の考えていることを口に出してもらい、自分で結論を導き出してもらうためです。でも、大人はなまじっか経験があるがゆえに、ついアドバイス的なことをしてしまいます。聞き手がそんな態度だと、話しているほうは逆にストレスがたまってしまい、それなら何も喋らないほうがマシだと思ってしまうのではないでしょうか。しばらく、「ただ聞く」という修行を根気強く続けて、いつか子供の話を引き出せるようにしばらく頑張ってみます。
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